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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003/11/11
http://www.asanoshiro.org/                  第114号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「衆議院議員選挙の結果」(浅野史郎)

 [お知らせ]
  ○浅野史郎知事への「10年目のメッセージ」、募集しております!
  ○メルマガ登録者、相互リンク募集中です。

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「衆議院議員選挙の結果」(浅野史郎)

 選挙から一夜明けた10日の新聞各紙に踊る見出し。朝日新聞は「自民伸
びず、民主躍進」、読売新聞は「与党が「絶対安定多数」」、日本経済新聞
が「与党安定多数、首相続投へ」であった。なんとなく、それぞれの新聞の
性格が出ている。私が見るところでは、「政権交代」を掲げて戦った民主党
は、結局、与党に安定多数を与えてしまったのだから、明確に敗北である。
だから、選挙結果が出た後で、菅直人さんと小沢一郎さんが笑顔で並んでい
る姿には、ちょっと違和感があった。政権交代は意気込みだけで、「ダメ元」
とは言わないが、自分たちとしてもそれほどの確信・覚悟がなかったという
ことなのだろうか。

  それにしても、日本でも、本格的な二大政党時代が到来したということ
は感じさせる選挙結果である。民主党躍進の裏には、社民党、共産党、保守
新党の大敗、埋没がある。保守新党は、ついに解党の途をとらざるを得なく
なった。今回で3回目となる小選挙区制のなせる業である。「アンチ自民党
は民主党で」という受け皿が、小選挙区制の下では明確になりつつある。

 民主党躍進の原動力は、自由党との合併であろう。民主党に期待しながら
も、なんとはなしの頼りなさを感じていた層にとっては、「剛腕」小沢一郎
の率いる自由党と一体となることで、頼れる存在へと変身した。そして、マ
ニフェスト。数ヶ月前には、日本人の中で、マニフェストとは何物かを知っ
ていた人は、ごくわずかであった。それがあっという間に広まり、中身を読
む読まない、理解するしないにかかわらず、なんとなくまともなものという
認識が定着した。

 自民党も、マニフェストに積極的に対応した。マニフェストというよりも、
政策論争である。だから、今回の選挙は、これまでの選挙とは様変わりして、
政策が前面に出て争われる形になった。誰を総理大臣に選ぶのか、それが一
番大きな争点であるというのが、衆議院選挙である。そういったあたりまえ
のことを、あたりまえに受け入れる有権者が増えたのではないか。逆に言え
ば、人と人との関係、義理人情、世話になった・ならない、組織の締めつけ
などが、大きくモノを言う局面は後退したような気がする。

 このことは、端的に、選挙演説にも現れている。お願いします、役に立ち
ますの連呼ではなく、年金制度はこうする、景気対策はこうやるといった政
策についての語りが大幅に増えた。そして、それを有権者も真剣に聞くよう
になった。ただ、予想はしていたが、私として残念だったのは、三位一体改
革など、地方分権のテーマが、有権者の関心をほとんど呼ばなかったことで
ある。毎日の生活に、地方分権は一体どんな関係があるのかということに、
ちゃんと答えられる理論武装が必要となる。

 選挙後の国政はどうなるのであろうか。私は、いい方向に進むのではない
かと期待している。政権側にとって、下手をすると政権交代に追い込まれる
という緊張感が出てくるだろう。野党側も、単なる揚げ足取りや、反対のた
めの反対では、国民の期待を裏切ることになる。選挙中に挑んだような政策
論争を、堂々と展開することになるはずである。今回は、やや急ぎ過ぎで作
成されたマニフェストだが、今日から次の選挙向けのマニフェストの作成作
業を開始すべきである。現職知事を閣僚にするなどという「奇策」を打ち出
すよりは、ずっと国民受けする。

 今回の選挙では、小泉首相と安倍晋三幹事長の個人的魅力でかなりの票を
獲得した。となると、次の選挙もこの二人と同じ程度のフレッシュさの感じ
られるメンバーが中心にいなければ、勝負に勝てないだろう。つまりは、小
泉純一郎首相の続投か、又はその前を行くような「超」フレッシュな人材が
求められる。これも、国政のダイナミックさにつながることになる。

 そんなこんなで、今回の衆議院議員選挙は、明るい展望を垣間見せてくれ
るようなものであった。その意味では、何十年後かに振り返った時に、あれ
が転機だったのかと特定される選挙になる可能性がある。一つだけ、なんと
もがっかりさせられたのは、投票率の低さである。若者よ(若者に限らない
が)、「投票なんて行く気がないぜ」とうそぶきつつ、政治に興味を持たず
に、選挙に参加しないでいるがいい。日本の政治がいい方向に変わっていく
であろうこの時代に、蚊帳の外に置かれることになることをご覚悟あれ。後
の時代の息子や娘に、「その時、お父さん(お母さん)は、どうしていたの」
と問われて赤面するがいい。そうならないために、少しは政治に関心を持ち、
いささかの行動も起こして欲しいと願っている。

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> [お知らせ] <

 ○浅野史郎知事への「10年目のメッセージ」、募集しております!

 この11月、浅野史郎知事が就任10周年を迎えます。10周年目への想いをお
寄せ下さい。これまでの10年間のこと、これからの期待することなど何でも
結構です。皆様のメッセージ、心よりお待ちしています。

 メールアドレス yumenet@asanoshiro.org
 FAX 022-279-5779
 (11月13日締め切りといたします)

 なお、皆様のメッセージは11月17日に開催される10周年を祝う会の会場に
掲示いたします。


 ○メルマガ登録者、相互リンク募集中です。

 多くの皆様に浅野史郎の「生」の声を届けたいと思っております。
 お近くにご紹介いただければ幸いです。

 相互リンクも随時募集中です。お気軽にこちらまでメール下さい。
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> [編集後記] <

 知事からの「若者は」という言葉。私と同世代の投票率の低さが事実であ
る以上、仰るとおりとなるのですが、私や私の周りは結構投票率アップに貢
献したのではないだろうかと自負しています。

 私は、自分のサークルの学生さん達に「選挙に行こう」と呼びかけ、同じ
サークルの後輩は、宮城一・二区で公開討論会を主催したりもしました。

 と、自慢で終わりたいところですが、ある学生がぽつりと言っていたのが
印象的でした。その学生が曰く「公開討論会に行って、逆に投票したくなく
なった」と。候補者のレベルが学生に及んでいない選挙区もあったようです。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

                        皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。
                            メールアドレス mmz@asanoshiro.org

    ※今週は「読者のみなさまから」はお休みいたしました。

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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