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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/12/9
http://www.asanoshiro.org/                  第118号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「500万人トーチラン」(浅野史郎)

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 ○「500万人トーチラン」(浅野史郎)

 11月上旬、「500万人トーチラン」実行委員会の細川佳代子委員長、
宮城実行委員会の大山健太郎委員長が、知事室をご訪問された。2005年
2月26日から3月5日まで、長野県において開催されるスペシャルオリン
ピックス冬季世界大会を成功させるためのイベントが、「500万人トーチ
ラン」である。スペシャルオリンピックスについては、私が知事に就任して
すぐの時期から関心を持っていた。早い時期に、スペシャルオリンピックス
日本の研修会での講師を務めるということもあった。

 ということで、スペシャルオリンピックスについては、よく知っていたの
だが、トーチランとは何か、よくわからなかった。細川委員長の説明を聞い
て、なるほど、これは意義がある、面白そうだ、宮城県でも関わっていった
ほうがいいのではないかと思えるようになった。

 そもそも、スペシャルオリンピックスとはなにか。世界150ヶ国以上に
広がっている活動で、アスリート(スペシャルオリンピックスの日常のト
レーニング活動に参加している知的発達障害を持った人)の数は100万人、
活動を支えるボランティアは75万人以上である。本部はアメリカのワシン
トンDCにある。

 1963年、故ケネディ大統領の妹であるユニス・ケネディ・シュライ
バー夫人が、自宅の庭を開放して開いたデイ・キャンプがスペシャルオリン
ピックスの始まり。彼女の姉のローズマリーには、知的発達障害があり、い
ろいろな形での差別に苦しんでいるのをシュライバー夫人は知っていた。も
ちろん、スポーツに親しむ機会も奪われていた。そんな経緯もあり、知的発
達障害を持った人達にもスポーツを楽しむ機会を提供したいという彼女の願
いから、この運動が始まった。

 日本では、1980年からスペシャルオリンピックスの活動がいったん始
まり、その後、新たに1993年に熊本で活動が本格化された。1994年
11月には、「スペシャルオリンピックス日本」が設立された。会長は、細
川佳代子さん。細川護煕元首相の奥様である。わが宮城県には「スペシャル
オリンピックス日本・宮城」がある。発足直後の1996年2月には、みや
ぎ蔵王えぼしスキー場で第1回冬季ナショナルゲーム宮城大会を開催した実
績を持つ。

 スペシャルオリンピックスでは、アスリートが住む地域において、年間を
通してオリンピックの種目に準じたスポーツ種目のトレーニング・プログラ
ムが組まれる。運営をし、コーチを務めるのは、ボランティアである。日頃
の練習、そしてその成果発表の場としての競技会が定期的に開かれる。一番
大きいのが世界大会であるが、どの大会でも、ディビジョニングと呼ばれる、
年齢・性別・競技能力到達度に応じたクラス分けが行われることが特徴であ
る。これにより、競技能力が低いアスリートにも、入賞のチャンスが生まれ
ることになる。

 500万人トーチランは、日本では知名度がまだまだであるスペシャルオ
リンピックスを多くの人に知ってもらおうということから企画されている。
トーチランを聖火リレーと言い換えてしまうとわかりやすいが、実際は
ちょっと違う。トーチ(たいまつ)は熊本県の阿蘇山で採火される。日本全
国の市町村でそれぞれ行われるトーチランのために、その火は分火され、最
後は東京で一つになる。世界各国の国際トーチランのメンバーによりアテネ
で採火された聖火は、東京で合体される。"FLAME OF HOPE"と
呼ばれるその聖火は、長野に向けて出発となる。

 2004年の9月から2005年の2月にかけて、全国の市町村でトーチ
ランを組みこんだいろいろな催しが行われる。いろいろな障害を持った人が
トーチランナーとなって先頭を走り、伴走者2名プラス隋走者を合わせて1
チーム約20名が1区間500mを走る。参加者は1000円の参加費を
払って走ることになる。ランナーはもちろん、トーチランを支えるすべての
スタッフはユニフォーム(Tシャツ)を着用する。私は、先日、細川佳代子
さんが県庁を訪問された機会に、色違いで2着買い求めた。

 目立つユニフォームを着て、集団でトーチを持ってのランニングをすれば、
多くの人達の関心を集めるだろう。自然と、「スペシャルオリンピックスっ
て何だろう」ということになり、長野での世界大会を盛り上げることにつな
がる。そういった人達が、全国で500万人になることを目指すというのが、
「500万人トーチラン」の名称の由来である。

 宮城県内で、いくつの市町村がトーチランを実施することになるか、でき
たばかりの実行委員会で準備が進められている。委員長は、ランナーでもあ
る大山健太郎アイリスオーヤマ社長。県としても、できる限りの支援をして
いきたいと考えている。同じランナーであるので、私が走る場面もあっても
いいかなと思っている。

 ボランティア活動をしたいという思いはありながら、なかなかぴったりの
場面がない。そんなふうに思っている人にとって、この「500万人トーチ
ラン」は格好のイベントである。随走者として走るのもよし、スタッフとし
てお手伝いをするのもよし。さらには、スポーツの素養のある人だったら、
アスリートを指導するコーチになってもらったらいい。宮城県のボランティ
ア活動にとって、大きな飛躍の契機になることも期待できる。

 長野県で開催される2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会は、
アジアで初めて開催される世界大会である。参加80ヶ国、アスリート
2,500人、ボランティア10,000人、観客動員150,000人と
いった大きな規模になる。この大会の開催を契機に、知的発達障害者への国
民の関心が格段に高まり、障害者についての正しい理解が広がることになれ
ば、素晴らしいことである。

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 仙台ではやっと雪が降りました。例年よりかなり遅めの初雪でした。暖か
くて過ごしやすいのは、個人的にはありがたいこととはいえ、毎年少しずつ
気候が変化していくのがちょっと不安です。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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