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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/5/25
http://www.asanoshiro.org/                  第142号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「車椅子ツインバスケットボール」(浅野史郎)

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「車椅子ツインバスケットボール」(浅野史郎)

 車椅子ツインバスケットボールを観戦する機会があった。生まれて初めて
である。実は、車椅子ツインバスケットなるものの存在も知らなかった。5
月22・23日に、宮城県で第18回日本車椅子ツインバスケットボール選
手権大会が開催された。23日の決勝戦には高円宮妃殿下をお迎えし、私も
大会行事に出席していた。その際に、決勝戦の太陽の家ブレイカーズ(大分)
対沖縄フェニックス(沖縄)の試合を見ることになった。

 決勝戦の直前に、高円宮妃殿下と田中晴彦日本車椅子ツインバスケットボー
ル連盟会長からざっとご説明を受けていたが、実際に観戦してみたら、期待
以上の素晴らしさに感動を覚えた。普通の車椅子バスケットボールは何度か
見たことがあるが、こちらのツインバスケットのほうは、だいぶ感じが違う。
なにしろ、バスケットが一つではなく、背の低いバスケットがもう一つ用意
されている。3.05mの高いバスケットに入れても2点、1.20mの低
いバスケットでも2点である。

 低いバスケットには、上肢の力が弱い選手だけがシュートできる。その中
でも、白鉢巻の選手は円外からシュートするのに対し、より障害が重い赤鉢
巻の選手は円内からのシュートが可能である。障害の程度によって、選手ご
とに1点(最重度)から4.5点(最軽度)の持ち点が決まっており、1チー
ム5人のプレーヤーの持ち点の合計は11.5点以下でなければならないと
いうルールもある。

 障害の程度により役割分担がはっきりしているのがミソである。激しい動
きとシュート力で高いバスケットを狙う選手の動きに翻弄されているうちに、
背の低いバスケットの近くに陣取った選手にパスが回ると、受け取った赤鉢
巻の選手は、実に緩慢な動きで、そしてやっとの思いでボールを低いバスケッ
トに入れる。このスピードの切り替わりも、見ていてとても面白い。

 決勝戦の試合自体も、迫力があった。3連覇を狙う沖縄フェニックスに対
して、太陽の家ブレイカーズが大健闘。前半の劣勢を跳ね返してブレイカー
ズが逆転で優勝を飾ったが、その迫力と頭脳プレーの魅力に魅了されてしまっ
た。特に、低いバスケットのすぐ近くに陣取った赤鉢巻の選手にボールが渡っ
て、その選手が悪戦苦闘して数十センチ先のバスケットにシュートしようと
しているのを見るのは、ある意味ではもどかしく、違った意味ではハラハラ
する思いである。見事にというか、やっとのことでシュートが完了すると、
ほっとすると同時に、快感を覚える。まさに、そのあたりの醍醐味が、一度
見ただけの試合なのに実感できるのがすごい。

 すごいのは、そう感じる私ではなくて、こういったゲームを考案した北村
昭子さんがすごいのである。20年以上前に、日本リハビリテーション協会
に勤務していた彼女が、頸髄損傷で下肢が利かないだけでなく、上肢の力も
弱い障害者にもスポーツを対等に楽しんでもらえる競技がないかと模索した
あげくに作り上げたという。 

 閉会式の挨拶で申し上げたのだが、このゲームは人生そのものである。社
会のありようさえも示している。いろいろな能力を持った人がいて、それぞ
れが自分に合った役割を持っている。そのグループが力を合わせて、ゲーム
での勝利という共通目標に向かって戦う。そんなコンセプトがこのゲームに
は含まれている。

 今回の大会で最高殊勲選手に選ばれたのは、太陽の家ブレイカーズの8番
河原畑純選手。障害最重度の赤鉢巻の選手である。彼が低いバスケットに張
り付いて、何度も何度もシュートを決めた場面が印象に残っていたので、MVP
に選ばれるのは当然である。しかし、普通の障害者スポーツの種目では、彼
のような重度障害者が目立った活躍をするのは、とてもむずかしい。まさに、
河原畑選手の受賞が、車椅子ツインバスケットボールの真骨頂である。

 同じく閉会式の挨拶で決意表明したのだが、今日この場から、私は車椅子
ツインバスケットボールのサポーター兼伝道者になると宣言した。いろいろ
な場で、このゲームの魅力、素晴らしさを伝えていく。日本で考案されたこ
のゲームは、外国人にはルールが複雑過ぎて普及しないということを聞いた
ので、外国向けにも宣伝していこうかとも思う。

 いつものメルマガの感じと違った原稿になってしまったが、たまには許し
ていただきたい。

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> [読者のみなさんから] < 

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 当メルマガには、皆さんからたくさんのご感想をいただいております。そ
の皆さんの声の一部を掲載しております。


 <倉島さまから:市町村合併について>

 浅野知事の言われるとおり、合併の経過過程によって生じるいろんな不都
合は一時的なものとして看過し得ない事もあり、結果として効率化なし得る
かも大きな問題であろう。

 我がさいたま市の場合で言うならば、浦和・与野・大宮三市の議員報酬は
最も多額なレベルに引き上げられ、低額な市会議員の報酬が月額10万近い
増額が2年も続いた。また、健康保険税も最高のレベルにして猶不足とかで
上積みされている。また、与野市にて定着したゴミ有料回収も他市の反対で
無料化と改悪されてしまった。

 市民の生活向上が旗印での合併推進が、それぞれの自治体や議員諸侯の思
惑で市民に断りも無く勝手に歪められる姿はどう見ても理想から遠のく印象
しか感じられない。一部官僚の思いつきが然したる検討も無く進められ、地
方自治体への権限委譲が為されるべき「三位一体改革」も掛け声倒れで、肝
心の財源委譲もせず徒に交付金削減ばかりが目に付く有様は、何の為の改革
であるのかと疑問だらけである。



※お寄せいただくご意見は、当方の判断で掲載させていただく場合がありま
 す。基本的には削除、変更なしといたします。掲載不可のご意見の場合は、
 投稿の際にその旨明記していただくと助かります。また、ペンネームでの
 掲載をご希望の方もその旨を明記いただきますよう、お願いいたします。

 ご感想・ご意見は mmz@asanoshiro.org まで

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> [編集後記] <

 今週号の発行が遅れ、みなさまにはご心配をおかけいたしました。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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