宮城県知事浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/6/22
http://www.asanoshiro.org/                  第146号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

送信者が「mmz@asanoshiro.org」のウイルスメールが「asanommz@egroups.
co.jp」に2回送られましたが、第三者のウイルスに汚染されたパソコン経
由で送られたものであることが分かりました。現在は、今後同様の事態が起
こらないように対策を施しました。読者のみなさまには、大変ご心配をおか
けしました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「三菱自動車のリコール隠し」(浅野史郎)

 [読者のみなさんから]
  ○メルマガ読者、みなさまからのご感想などを掲載しております。

 [お知らせ]
  ○メルマガ登録者募集中です。

____________________________________________________________________
> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「三菱自動車のリコール隠し」(浅野史郎)

 三菱自動車のリコール隠しが表面化した。信じられない思いである。自動
車の欠陥は、重大な事故につながり、人命を奪うことになりかねない。実際
に、三菱自動車製大型車による死傷事故が、過去に複数回発生している。会
社として、その危険性を知らないはずがない。リコール隠しは、隠蔽工作で
ある。そういった工作をしたことが、事後的にでも明らかになれば、自動車
会社として致命的な打撃を受けることが予見できなかったとは信じられない。

 その信じられないことが起きている。四年前にもリコール隠しが発覚し、
元副社長らに略式命令が出た。今年三月には、三菱ふそうトラック・バスが
三菱自動車製大型車の欠陥を認め、国にリコールを届け出ている。横浜で起
きた母子死傷事故から二年後のことである。三菱自動車の五月の新車販売台
数は前年同月に比べ56%も減っている。新たな不祥事の発覚により、販売
はさらに落ち込むことが懸念される。ダイムラー・クライスラーの経営支援
打ち切り表明を受け、三菱グループ中心の経営再建策が先日発表された。こ
の計画には、今回のリコール隠し発覚による影響は織り込まれていない。再
建に向けての情勢は、さらに厳しくなった。

 ごく最近でも、消費者の信頼を失って、経営に大打撃を受けた事例はたく
さんある。雪印食品、日本ハムなどの食品関係の例が、特に記憶に残ってい
る。「うそつき食品」といったことが消費者の間で問題になったとたんに、
会社は存続すら揺るがされるほどの状態に陥る。食品以外でも、東京電力の
ケースがある。原子力発電所のトラブルを隠そうとしたばかりに、全ての原
発の一時運転停止に追い込まれた。 

 会社としての倫理観の問題もあろうが、こうやって、結果から振り返って
眺めて見れば、「ごまかし」はワリに合わないことは明らかである。いずれ
露見する。そして、露見した際の打撃は、本来の被害の何倍にも大きくなっ
ている。このことを、私は以前に、「二次災害」と呼んだ。不祥事そのもの
が一次災害だとすれば、不祥事を隠そうとする動き、つまり「もみ消し」、
Cover-Upが二次災害である。一次災害は「ごめんなさい」で済んでも、二次
災害、もみ消し工作のほうは、それでは済まない。

 わが宮城県庁も、食糧費問題で揺れた。平成7年頃のことである。その後
も、カラ出張問題が明らかになった。これが一次災害である。その不祥事を
なんとか乗り越えることができたのは、二次災害が生じる前に自分たちで事
実を明らかにし、「ごめんなさい」と言ったからである。

 三菱自動車や雪印食品などと宮城県庁が違うのは、宮城県庁には「売上げ」
というものがない。したがって、企業にとっての倒産にあたる事象は生じ得
ない。もう一つ、ライバルがいない。三菱自動車には、日産、トヨタという
同業者がいる。消費者にとっては、三菱自動車がダメでも、他の会社の製品
を求めればいい。冒頭に、今回の三菱自動車の動きを「信じられない」と書
いたのは、ライバル会社があるにもかかわらず、そして、最悪の場合、「倒
産」という状況があることを知りながら、なぜあのようなことをしたのかと
いう思いであった。官庁には、これがない。だからこそ、「逃げよう」とい
う誘惑から逃れるのは、民間会社以上にむずかしい。そのことを忘れてはな
らないと、私は思う。

 三菱自動車に話を戻す。リコールしなければならない事態であることを
知っていた会社幹部は、どういう心の動きで「リコールせず」という判断を
したのだろうか。「ばれたら大変な事態になる」ということは十分知ってい
たはずであるから、「ばれるはずがない」という相当の自信があったという
ことであろう。ばれる、ばれないという以前に、対象となっているモノは、
「走る凶器」とさえ形容される大型車なり自家用車である。「まかり間違っ
たら、人命に関わる」という心のおののきはなかったのだろうか。ここがわ
からない。どうしてもわからない。判断した個人の問題というよりも、組織
としての病理と言わざるを得ない。

 組織の病理は、どうやったら克服できるのであろうか。組織を構成する一
人ひとりの意識の問題に還元することでの解決は無理である。たとえば情報
公開の仕組み、外の目を入れる知恵が有効であろうとは思う。今回の三菱自
動車の問題も、発端は内部告発であったとも聞く。東京電力の原発問題でも
同様である。内部告発のルール化というのも、なんとなくおぞましいことで
はあるが、もっとおぞましい事態を回避するためには、真剣に考えなければ
ならない時期に至っているのではないか。

 自分の抱える組織だったらどうであったかなど、三菱自動車での出来事か
ら、いろいろなことを考えさせられる。

____________________________________________________________________
> [読者のみなさんから] < 

 ○メルマガ読者、みなさまからのご感想などを掲載しております。

 当メルマガには、皆さんからたくさんのご感想をいただいております。そ
の皆さんの声の一部を掲載しております。


 <住吉さまから:
       “不可解だけではすまない―小六女児殺害事件”について>

 145号の「不可解だけではすまない―小六女児殺害事件」の中でも書か
れていましたが、私は日頃からテレビや映画が、どんなに子供達に悪い影響
を与えているかと感じておりました。

 特にテレビはスイッチを入れれば誰でも観られます。目を覆いたくなるよ
うな番組。本当にクダラナイ番組。残酷なシーンを堂々と放映しているテレ
ビ局、このスポンサーが腹立たしくさえ思います。低次元のレベルに下げた
ものほど視聴率が上がると思っている。これは間違いなのではないのでしょ
うか?

 テレビを始めマスコミには責任があります。良い日本にしょうと思えば出
来るからです。逆に悪いに日本にしょうと思えばそれも可能です。これから
成長してゆく子供達のためにも、テレビには規制をしていただきたい思って
おります。



※お寄せいただくご意見は、当方の判断で掲載させていただく場合がありま
 す。基本的には削除、変更なしといたします。掲載不可のご意見の場合は、
 投稿の際にその旨明記していただくと助かります。また、ペンネームでの
 掲載をご希望の方もその旨を明記いただきますよう、お願いいたします。

 ご感想・ご意見は mmz@asanoshiro.org まで

____________________________________________________________________
> [お知らせ] <

 ○メルマガ登録者募集中です。

 多くの皆様に浅野史郎の「生」の声を届けたいと思っております。
 お近くにご紹介いただければ幸いです。

 登録ページはこちらです。
 http://www.asanoshiro.org/news/mmz.htm

____________________________________________________________________
> [編集後記] <

 最近のパソコンのウイルスは巧妙で、送信先を詐称してウイルスメールを
送ります。今回、皆さんに届いたメールもその類なのですが、多くの方から
真偽の確認メールをいただきました。一番はじめにも書きましたが、発信源
は、第三者のウイルスに感染したパソコンであり、編集局のパソコンではご
ざいません。

 ちなみに、私宛に届くウイルスメールは、日に五十通程度。ウイルス対策
ソフトを入れているので、大丈夫ですが、かなりの量に辟易しています。し
かし、それよりもすごいのが、一日三百通ほど届く、英語のダイレクトメー
ル。そんなにアピールしていただいても、私は英語が不得意ですので…。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

                        皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。
                            メールアドレス mmz@asanoshiro.org

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
浅野史郎メールマガジン http://www.asanoshiro.org/
発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org