浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/6/29
http://www.asanoshiro.org/ 第147号
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> ＜＜目次＞＞ <
[週刊コラム・走りながら考えた]
○「プロ野球の再編？」（浅野史郎）
[読者のみなさんから]
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> [週刊コラム・走りながら考えた] <
○「プロ野球の再編？」（浅野史郎）
参議院議員選挙について書こうと思ったが、選挙期間中でもあるし、やめ
ておくことにした。ひとつだけ言いたいのは、やはり、投票には行こうぜと
いうこと。「政治には期待していない」、「誰がなっても同じ」、「自分の
投票ぐらいでは何も変わらない」などなど、投票しない理由を並べ立てる。
中には、こういう言辞を弄するのがかっこいいと思っているらしい御仁もい
る。えらそうなことを言うでない。政治は、投票で変えるしかない。投票し
ないのは、単に政治的に怠惰なだけ。投票しないでおいて、「今の政治はダ
メだ」とは言わせない。
国政選挙は、毎年あるわけではない。この参議院議員選挙が終わると、そ
れから３年は国政選挙がない可能性が高い。政権の行方に直結する衆議院議
員選挙とは違うが、最近の参議院選挙では、その結果により首相が辞任した
のが２回もある。政治的に極めて重要な意味を持つ選挙であることは確かで
ある。
ジョギング仲間と走りながら話していた。学校時代は、先生から強制され
ることもあってか、走ることが義務とか苦痛としか受け止められなかった。
今では、走ることに喜びを感じている。怪我で走れなくなると、走れること
のありがたさを思う。一党独裁の政治システム下にあった国で選挙が行われ
ると、人々は争って投票所にでかける。自由投票ができるありがたさを、少
しは考えたらいい。自由に投票が許されていることは、地球規模で眺めれば、
決して当たり前のことではないのである。
「ひとつだけ」と言いながら、ついつい選挙について書いてしまった。と
もかく、「投票に行こう」ということ。
ぐっと話題は変わって、プロ野球の再編問題について書く。プロ野球パシ
フィック・リーグの近鉄バッファローズを経営する会社が、赤字でどうにも
ならないので、単独での球団経営をやめたいという意向を発表した。オリッ
クスと合併するという話も進んでいたらしい。このニュースは、プロ野球界
を揺るがし、プロ野球ファンに衝撃を与えた。特に、近鉄ファン、オリック
スファンの驚きと嘆きと怒りはふつうでないぐらいに高まった。
それはそうであろう。近鉄ファンとしては、純粋に球団を応援していたの
に、シーズン途中で突然、「オリックスと合併します」と告げられたら、目
を白黒であろう。近鉄対オリックス戦は、どういう気持ちで応援したらいい
かわからなくなる。
球団側にも言い分はあろう。あくまでも企業であるから、経営を度外視は
できない。球団を持っていることが、親会社にとっての広告になるといって
も、赤字補填には限度がある。毎年、４０億円も赤字になるといったら、経
営に永続性はなくなる。とはいえ、球団としての経営努力は十分にされてい
るのか、合併をすぐ持ち出すのは早過ぎるのではないかなど、球団としても
考えてもらわなければならないことはある。
私としては、他のチームの反応が気にかかる。この際、球団の合併、統合
を進めて、チーム数を整理して、一リーグ制にしてともいいではないかとい
う議論も出てきている。巨人戦がないパ・リーグのチームにとっては、受け
容れやすい提案かもしれない。しかし、そう簡単に一リーグ制を言い出して
いいのであろうか。
米国ニュージャージー州在住の冷泉彰彦氏に言わせれば、球団には「野球
への愛」がなく、「ボールではなく、金銭と売名のことにしか関心のない」
一部の紳士達にも問題があることになる。冷泉氏は、ポスト・シーズンの
ゲーム、つまり日本では日本シリーズ、アメリカではワールドシリーズの大
事さに目を向けるべきだと主張する。なるほどと思いながら、氏の文章を読
ませてもらった。
そうなのである。１リーグ制になると、日本シリーズはなくなる。オール
スター戦は、お祭りの要素が強いので、それほどこだわらないが、日本シ
リーズがなくなるのは大問題である。これは、日本野球の伝統破壊行為だと
冷泉氏が怒るのもよくわかる。
アメリカ大リーグに日本選手が入団して、かなりの活躍をしている。イチ
ローはもちろん、両松井もアメリカ球界でも立派に通用することは証明され
た。今シーズン加入した元ヤクルトの高津投手については、「無理だろう」
と心配していた不明を恥じたい。日本での活躍以上とも言えるほどの素晴ら
しいピッチングを披露している。
「日本選手だってすごいんだ」と溜飲を下げていること自体が、アメリカ
野球へのコンプレックスのようなものなのだと気が付く。確かに、大リーグ
の選手は、打者にしても投手にしても、圧倒されるようなパワーがある。し
かし、それだけでは野球は勝てない。日本の野球には日本らしい素晴らしさ
があることに気が付かなければならない。
緻密な心理ゲーム、駆け引き。投手で言えば微妙なコントロールと多彩な
変化球。打者で言えば、阪神の赤星選手などはアメリカにはいないような、
とてもいい選手に見えるはず。それもこれも、日本野球の伝統のようなもの
である。日本シリーズの伝統を簡単に捨て去るなというのも、その辺に通じ
る。
たかが野球の話というだけではないような気がする。消費者あっての企業、
ファンがあってのプロ野球。ファンを甘く見ると、手痛い反撃を食らうのは、
先週のテーマ（「三菱自動車のリコール隠し」）と通じるところがあるよう
な気がする。
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> ［編集後記］ <
今週もウイルスや広告など迷惑メールについての話を。
最近流行っているメールで、銀行やプロバイダーの名前をかたって、クレ
ジットカードの番号などの個人情報を引き出そうというものがあります。私
のところにも届き始めました。いわゆる詐欺の一種です。
そのようなメールは、現状は英語で記述されたものばかりですが、日本語
で書かれたものも、一気に流行る可能性があります。皆さんもお気をつけて。
それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 （一馬）
皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。
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発行：浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬 |
