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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/7/20
http://www.asanoshiro.org/                  第150号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「あこがれの甲子園」(浅野史郎)

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「あこがれの甲子園」(浅野史郎)

 夏の全国高校野球選手権大会の予選が、各地で開催されている。激戦を勝
ち抜いて甲子園に駒を進めるのは、各県ごとにどのチームになるか。自分の
出身校のことも気になる。大体の県においては、甲子園進出の常連が決まっ
ているので、望んではみても実現は無理だろうの思いは感じつつも、一応は
夢を描くものである。こういったことも含め、甲子園球場での夏の高校野球
選手権大会は、日本の文化として定着している。

 常連校とその他校の実力の差は、開きつつあるのではないか。わが宮城県
の場合は、その傾向を否定できない。強豪チームは、まずもって部員の数が
違う。百人を超える中からレギュラーに選ばれるのは、それこそ選りすぐり
の選手である。立派な専用練習場を持っていたり、道具もふんだんに支給さ
れるといった具合に、練習環境も恵まれている。指導者にも、経験・実績の
ある人を得ている。公立高校では、なかなかこうはいかない。それに加えて、
もう一つの事情がある。

 先日、県予選を前にして、地元紙が出場各校のメンバー紹介をしていたが、
それを見て、改めて「ふーん」と思った。出身中学校名まで載っている。公
立高校では、メンバーはほとんど全員、地元中学校出身であるのに対し、常
連校では県外中学校出身者が極めて多い。昨夏、甲子園に進んだ東北地方の
ある高校の例では、先発メンバー全員が関西を中心とした県外者であった。
これでは、「地元代表」といっても、ちょっと以上の違和感がある。東北の
高校チームなのに、グランドでの標準語は関西弁というのでは、いかがなも
のか。

 プロ野球やプロサッカーで採用しているように、「外国人枠」としては一
チーム3人までとか、一定の制限をすることも考えたらどうか。そうなると、
中学校から転校させる作戦に走るところも出てくる心配はあるが、そこはそ
れなりに常識が働くだろう。そうでもしないと、愛郷心での応援にかげりが
出てきてしまう。県外選手を入れてでも強いチームを作るということになる
と、勝つことのみにこだわり過ぎるチームづくりになってしまうことを恐れ
る。あくまでも、「高校野球らしさ」というのを追求すべきではないか。

 甲子園大会の季節になると、愛郷心が全国一斉に高まると言われている。
つまり、「おらが県」の代表校を応援する心情が明確になるということ。人
によっては、出身県が複数にわたる場合がある。生まれた県、育った県、住
んでいる県、勤務したことがある県、そのどれに一番愛着があるかが、甲子
園大会でどこの代表校を応援するかによって、あぶり出されてくるらしい。
私の場合、岩手県生まれであるが、岩手県代表校を応援する気にはならない
し、2年間勤務した北海道代表と宮城県代表が対戦したら、当然宮城県代表
を応援する。それは、心情であって、現在宮城県知事を務めている立場だか
らというのとは関係はない。

 市町村合併はできても、県同士の合併はむずかしいのは、甲子園大会があ
るからだという説がある。もちろん、冗談ではあるが、不思議にそれなりの
説得力はある。「甲子園大会があるから」というのは嘘でも、県としての一
体感、愛着というのが、それだけ強いということを示した言い方にはなって
いる。

 「甲子園」は、高校球児たちのあこがれになっている。「東京ドーム」で
はないのがいい。阪神甲子園球場が所在するのは、兵庫県西宮市である。全
国の高校ラグビーの聖地は、東大阪市にある近鉄花園ラグビー場である。高
校駅伝なら、京都市である。こうやって数え上げていくと、関西方面に集中
してはいるが、それにしても、東京でないことに意義がある。スポーツの世
界では、こうなっているのだから、文化の分野でもこうなったらいい。芥川
賞、直木賞は、勧進元である文藝春秋社のある東京でなくて、仙台で選考会
をやってはどうか。勧進元が、地方の出版社なり文化団体だったら、どんな
に面白いだろう。世界の映画祭の聖地は、ハリウッドでなくて、フランスの カンヌである。そんなことも考えれば、日本でもいろいろやれることはあり そうな気がする。現に、そういった地方発信の全国イベントがあることは承 知しているが、もっともっとやろうということ。  甲子園の全国高校野球選手権大会の話から、少し飛躍してしまった。昨年 の夏は、わが東北高校が超高校級のダルビッシュ投手を擁して、決勝戦まで 進出した。優勝旗が初めて白河の関を越えることを夢見て、決勝戦では私も 甲子園球場のアルプススタンドから声援を送った。勝負はそれほど甘くはな い。常総学院の力が上であることを確認する試合になってしまった。  「今年こそは」の思いはあるが、いい試合をしてくれさえすれば、それは それで素晴らしい。どのチームが宮城県代表になるかわからない時点で書い ているが、どこであれ、立派な戦いぶりを期待している。 ____________________________________________________________________ > [読者のみなさんから] <   ○メルマガ読者、みなさまからのご感想などを掲載しております。  当メルマガには、皆さんからたくさんのご感想をいただいております。そ の皆さんの声の一部を掲載しております。  <PN 愛知県“マレーに行ってきました”さまから:              “タイ少女滞在とレッドテープ”について>  「お役所仕事」と「怠惰」が同義語というのは、妙に納得できました。人 間は、どうしても楽な道に進みたがるし、新しいことをするにはかなりのエ ネルギーが必要だからです。  ある方から、浅野さんが厚生省の障害福祉課にいた時のことを教えてくだ さいました。「前例がないからと言って断るのはやめよう。ないのなら作れ ばいい。もともと前例だって何もないところから生まれたんだ」と言って、 当時の職員を激励したこと。そんな中で、今のグループホームの元を作って いったと。私はその話を聞いてすごく感動しました。  役所では、どうしても「お役所仕事」をしているイメージが強いです。役 所の人は「前例がないから」と言って断るだけで終わりですが、相談に行っ た人は「生活がかかっている」わけです。怠惰ですませて良い問題ではない と思います。その中で、逆風にも負けず、新しい道を作っていく。労力はい るけど、そんな職員が増えて欲しいし、私もなりたいと思います。 ※お寄せいただくご意見は、当方の判断で掲載させていただく場合がありま  す。基本的には削除、変更なしといたします。掲載不可のご意見の場合は、  投稿の際にその旨明記していただくと助かります。また、ペンネームでの  掲載をご希望の方もその旨を明記いただきますよう、お願いいたします。  ご感想・ご意見は mmz@asanoshiro.org まで ____________________________________________________________________ > [お知らせ] <  ○メルマガ登録者募集中です。  多くの皆様に浅野史郎の「生」の声を届けたいと思っております。  お近くにご紹介いただければ幸いです。  登録ページはこちらです。  http://www.asanoshiro.org/news/mmz.htm ____________________________________________________________________ > [編集後記] <  新潟と福井の集中豪雨は、大変な被害をもたらしました。被災地が一刻も 早く復旧することを願っております。  宮城県でも昭和61年の夏、すさまじい雨が降りました。当時、私は阿武 隈川の土手沿いに住んでいました。自分の家の高さ以上に川の水かさが増し、 子どもながらに恐ろしかったことを覚えています。  宮城県沖地震だけではなく、水害に対する備えも必要なのだなと、あらた めて感じました。  それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)  皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。      メールアドレス mmz@asanoshiro.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 浅野史郎メールマガジン http://www.asanoshiro.org/ 発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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