宮城県知事浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/8/10
http://www.asanoshiro.org/                  第153号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「リーダー養成塾」(浅野史郎)

 [読者のみなさんから]
  ○メルマガ読者、みなさまからのご感想などを掲載しております。
   (今週はお休みです)

 [お知らせ]
  ○メルマガ登録者募集中です。

____________________________________________________________________
> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「リーダー養成塾」(浅野史郎)

 正式には、「日本の次世代リーダー養成塾」という。宮城県を含む7県が
参加している地方分権研究会の事業として、今年から始まったものである。
対象は、高校生。地元の福岡県25名、その他のメンバー県がそれぞれ10
名を推薦枠として各県ごとに選考して、合計85名。これに、全国枠として
94名が加わる。男性84名、女性95名、総計179名の高校生が、7月
28日から8月10日までの2週間、福岡県宗像市にあるグローバル・ア
リーナに合宿して研修を受ける。これを「日本の次世代リーダー養成塾」と
称する。中身は、講義、観劇、見学、野外活動など盛りだくさんである。塾
長が奥田碩氏、塾長代理は榊原英資氏。

 講師陣がすごい。謳い文句では「日本や世界を代表する学者、経済人、政
治家」となっている。私も講師の一人であるので、これは素直に光栄である
と思っている。きら星の如き講師陣は、麻生渡福岡県知事、北川正恭早稲田
大学大学院教授、榊原英資慶応義塾大学教授、金子郁容慶応義塾大学大学院
教授、マハーティール・モハマド前マレーシア首相、奥田碩日本経済団体連
合会会長、大竹美喜アメリカンファミリー生命保険最高顧問、マラソンラン
ナーの有森裕子さんなど。

 私は、「英語の学び方―エルヴィスとの出会い」というタイトルで講義を
する予定であった。もちろん、その話はしたが、急遽「障害者との出会い」
という演目を追加した。当初の演目だけでは、「持たないのではないか」と
いう弱気の虫にとりつかれてしまったから。講義の直前に、「どうも、相手
にする高校生たちは、普通の高校生とは違うらしいよ」という評判を耳にし
た。それを聞いて、予定していた「英語の学び方」だけでは、彼らの知的好
奇心を十分満たせない心配があったからである。

 なにしろ、マハティール前首相への質問者の何人かは、素晴らしい英語で
滔々と自説を展開したとのこと。宗教学者の山折哲雄氏の講義では、氏が
「沈黙が大事」ということを話した。その後、質問に立った学生は指名され
て立ち上がり、1分間ほど何も言わずにいた。「沈黙が大事」の実践のつも
りらしい。その他、講師に向かって、「私は総理大臣になるつもりです」と
言った学生もいた。言われた講師はすかさず、「そうだな、君の髪型は小泉
首相に似ているしな」と応じたというから、学生も学生なら、講師のほうも
「さすが」ではある。

 戦々恐々という感じで始めた私の講義であったが、さすが選ばれてきた高
校生たちで、聴く態度は真摯そのもの、礼儀正しさも感じられた。話をいや
いや聴かされるのではなく、聴きたい、知りたい、吸収したいという意欲が
あるから、話すほうとしても張り合いがある。普通の高校生が、普通の研修
として179人集まった場では、こうはいかない。

 私の講義でも、「質問はないですか」と言ったら、さっと30名ぐらいの
手が上がったのには驚いた。高校生には、障害者問題のインパクトが大き
かったようで、大半の質問はそちらに集中した。結局は、15人ほどの質問
に答えたが、高校生とは思えない、レベルの高い内容であり、私の講義内容
を真剣に受け止めてくれたという気にさせられた。講師としてはとても満足
である。

 実は、「リーダー養成塾」という名称に異を唱える向きもあった。高校生
に差をつけるような名称はいかがなものかというご意見。しかし、結果的に
は、「リーダー」という名称ゆえに、応募者としては、そういった資質のあ
る高校生が多く集まった。なによりも、選ばれた本人たちに、次代のリー
ダーたらんという自負もあるから、講義や、グループディスカッションの場
では、心意気が前面に出るような雰囲気になったと言えるだろう。その意味
では、この名称は成功と評価していい。

 塾長代理の榊原英資教授、事務局長を買って出た加藤暁子慶応大学グロー
バルセキュリティ・リサーチセンター研究員は、現地にほぼ常駐して高校生
たちの面倒を見ていた。大変な努力であり、頭が下がるが、お二人とも養成
塾の結果には極めて満足していたのが印象的である。「今の高校生も、捨て
たものではない」という以上の手応えを実感されたようである。であるから
こそ、こういった養成塾の意義が大きい。

 養成塾の様子を伝えるテレビニュースを見たが、高校生たちは口々に「楽
しい、意義がある、帰りたくない」と興奮気味であった。全国からの同年代
の仲間である。ここで生涯の友人を得ることにもなる。自分が一番と思って
いたのに、上には上があることを思い知らされて、しばらくは落ち込んだ者
もいるらしい。すぐに立ち上がるだろうが、それもいい経験である。

 NTTのご協力で、塾が終わった後、メンバーをインターネットでつなぐ
サイトを立ち上げるらしい。そこで、卒塾生同士の引き続いてのネットワー
クが構築される。IT世代ならではのことで、これだけではないが、うらや
ましい限りである。そして、多くの人たちの善意の協力もありがたいことで
ある。

 彼らの10年後、20年後が楽しみである。時代のリーダーがこの中から
生まれ、そのリーダーがこの時の私の講義を覚えていてくれたら、やはり、
なんと言ってもうれしいだろう。そんなことを思いながら、宗像市での戦々
恐々の講義を終えた。

____________________________________________________________________
> [読者のみなさんから] < 

 ○メルマガ読者、みなさまからのご感想などを掲載しております。

 今週はお休みです。みなさんのご感想をお待ちしております。


※お寄せいただくご意見は、当方の判断で掲載させていただく場合がありま
 す。基本的には削除、変更なしといたします。掲載不可のご意見の場合は、
 投稿の際にその旨明記していただくと助かります。また、ペンネームでの
 掲載をご希望の方もその旨を明記いただきますよう、お願いいたします。

 ご感想・ご意見は mmz@asanoshiro.org まで

____________________________________________________________________
> [お知らせ] <

 ○メルマガ登録者募集中です。

 多くの皆様に浅野史郎の「生」の声を届けたいと思っております。
 お近くにご紹介いただければ幸いです。

 登録ページはこちらです。
 http://www.asanoshiro.org/news/mmz.htm

____________________________________________________________________
> [編集後記] <

 今回のメルマガで紹介された「リーダー養成塾」に参加できた高校生に、
ジェラシーにも似た感情を持ちました。すごい塾に参加できているなぁと。

 私自身、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」を最近読み直しているところで
したから、なおのこと。「私が支えるんだ」という強い気持ちが、本当に国
すら変えてしまうのですから。私も負けないようにしないと。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

                        皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。
                            メールアドレス mmz@asanoshiro.org

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
浅野史郎メールマガジン http://www.asanoshiro.org/
発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org