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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/9/21
http://www.asanoshiro.org/                  第159号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「続・プロ野球の再編」(浅野史郎)

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 ○「続・プロ野球の再編」(浅野史郎)

 6月29日の第147号で「プロ野球の再編?」を書いた。今回はその続
編である。前回は、近鉄とオリックスとの合併の話が突然出てきて、「日本
プロ野球の伝統である2リーグ制を守れ」といったことを書いた。球団経営
者は、金の話だけでなく、野球に愛情を持って欲しいということも言いた
かった。なによりも、近鉄ファンの気持ちをどうしてくれるのか、近鉄対オ
リックス戦は、双方のファンはどういう気持ちで応援したらいいのか。そん
なことも書いた。

 あれから3ヶ月。プロ野球にあまり興味ない人も、全国紙の一面トップに
「史上初のストライキ」という記事が載るのを見たら、どうしても関心を
持ってしまう。プロ野球の経営とは何かといったことが、国民的な関心事に
なった。そのこと自体、まずはいいことと言いたい。閉鎖的と言われるプロ
野球界に、多くの人の目が集まることによって、経営者だって今までどおり
というわけにはいかなくなる。それは改革への出発点である。

 IT関連の新興企業であるライブドア社が、近鉄球団の買収に名乗りを上
げたが、経営者側からは、ほとんど相手にされずということで門前払いを
食った形になっていた。そのライブドア社が、宮城県営球場をフランチャイ
ズにして新球団設立の申請を行ったのが、9月16日である。実は、その1
週間ほど前に、堀江貴文社長から、私のほうに打診がなされていた。宮城県
としては、デメリット何もなし、球団空白地帯である東北地方にフランチャ
イズが置かれることは大歓迎なので、即座に前向きの意向を伝えた。

 宮城球場をフランチャイズにして新球団申請というニュースは、地元宮城
県では大きな話題となった。ほとんどが大歓迎といった感じである。それだ
け、地元ではプロ野球チームが来ることが熱望されていたということが、今
更ながら明らかになった。

 その翌日には、日本プロ野球機構の経営側と選手側の交渉が行われた。最
後の論点は、球団の新規加入について経営側が前向きに対処するかどうか。
「来季での球団新規加入に最大限の努力をする」という文言を巡っての攻防
だったらしいが、経営陣からはその言質を引き出すことができずに、プロ野
球70年の歴史上初めてというストライキに突入することになった。

 世間の共感は、選手会側に集まった。会長である古田敦也選手のコミュニ
ケーション能力に負うところも大きい。誠実な態度で、切々と理を説く様子
に好感を抱くのは当然である。それよりも、なによりも、経営者側の論理に
ほとんど説得力がないことを、野球ファンのみならず、多くの人が見抜いて
いることが大きい。

 来季に、セリーグ6球団、パリーグ5球団という半端な形でやることは、
運営上もとてもむずかしい。そもそも、加盟球団を減らしてプロ野球の事業
規模を縮めることになるのは、常識的には、プロ野球界にとって困ることで
あるはずだ。時間がないので来季が無理だが、新規加入は再来年以降ならあ
り得るという話もある。しかし、来季に何十人もの余剰選手を出してどうす
るのだろう。在来の球団が分担して引き受けるということだが、11チーム
が揃って余剰人員を抱えるだけのことである。

 経営陣の今の意見が通るとすると、来季はパリーグ5チームでやることに
なる。それがファンにとってどれだけ魅力減になるか考えたのであろうか。
そうなった経緯をファンは知っている。幻滅の二文字が浮かぶ。プロ野球の
未来に、ファンは期待がつなげなくなって、どうやってプロ野球離れを引き
止めるつもりなのだろう。

 経営側の「来季は新規加入させない」という論理が、これだけはっきりと
破綻しているのに、そこに固執するのは、理由が別なところにあると考えざ
るを得ない。本当は、1リーグ制移行の構想があるのではないか。そのため
に、球団数は減らす方向で行くしかない。そうならそうで、そのことを選手
側にも、世間に向かっても、明確に提起すべきである。それがない中で、あ
れこれ理由にもならない理由を挙げて反対するのでは、議論が噛み合うはず
がない。

 ストライキという強硬手段をとったからこそ、こういった問題が白日の下
にさらけ出された。大きな代償は払ったが、それがいい方向に結びついてい
くのであれば、救いはある。ファンも決してプロ野球を見離さない。ここが
考えどころ。

 球団が来ることを切望している宮城県の立場からは、思いは特別である。
経営側は、本気で真面目に対処して欲しいと強く希望する。申請書は提出さ
れているのだから、しっかりと審査して欲しい。申請を却下する事由はない
と思うが、ダメならダメの理由を明確に示してもらう必要がある。

 最後に、根来コミッショナーの辞任について。コミッショナーの存在は、
こういった混乱の収拾のためにこそあるものと思っていた。その人が、一番
大事な時に、あっさりと辞めてしまったのには、真底驚いた。どうなってい
るのだろう。

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> [編集後記] <

 週末、帰省中の車内ラジオ。いつもの若干早口な実況が聞こえてこない。
一野球ファンとしては、寂しい週末でした。しかし、今後のことを考えれば、
選手会の決断は致し方ないと思います。

 そして、宮城にプロ野球チーム。考えるだけでワクワクします。サッカー
と野球が共存する素晴らしい地域になるだろうなと。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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