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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2005/1/11
http://www.asanoshiro.org/                  第175号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○スマトラ沖大地震・津波(浅野史郎)

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○スマトラ沖大地震・津波(浅野史郎)

 とてつもない大きな津波が13カ国に及ぶ海岸を襲った。津波の原因に
なった地震は、昨年12月26日午前、インドネシア・スマトラ沖で発生し
た。マグニチュード9.0という数字に驚く。阪神・淡路大震災の1600
倍のエネルギーという説明に、さらに驚く。

 驚くだけでなく、衝撃に襲われるのは、被害の大きさである。計13カ国
で約15万人が死亡、国連によると被災者は500万人に及ぶという。人類
史上でも稀にみる大惨事である。

 日本政府の対応は、迅速であった。5億ドルの財政的支援を約束し、自衛
隊派遣も早々と決定した。日本以外でも、世界約50カ国・地域・機関から
約45億ドルの支援表明がなされている。著名人や企業からも、驚くほど高
額のものを含め、寄付が相次いでいる。

 それにしても、何故にこれほど大きな人的被害を出してしまったのだろう
か。被害にあった地域の人たちに、津波に関しての基本的知識が不足してい
たという事情もあった。1回目の津波のあと、何人かが水が引いた海岸に魚
を取りに出ていってしまうなどということは、日本の海岸では絶対に起きな
い現象だろう。津波のメカニズムを知らないから、恐ろしさを認識しようが
ない。このことが、被害を大きくした要因である。

 それだけではなく、当局からの津波警報が全くなされなかったとも聞く。
情報は察知していたが、観光政策上の配慮から、警報を出し渋ったという
ニュースには、耳を疑ってしまう。さらに基本に戻れば、マグニチュード
9.0という巨大地震の発生が、衛星での監視システムで察知されないはず
はないだろうという疑問である。その情報を、どうしてすぐに関係国に伝え
なかったのかと、米国を非難する論調を目にした。

 ともあれ、大惨事は発生してしまった。これからどうするかである。目の
前の被災者に食糧や飲料水をはじめとする生活必需品をどう届けるか。道路
までもが寸断されてしまっている。被災地への運搬手段の確保が喫緊の課題
である。

 次に待ち構えているのが、伝染病蔓延の恐怖である。熱帯性の伝染病の温
床のような地域で、汚水もなにもかも巻き込む津波被害が発生した。伝染病
大量発生の条件がそろっている。これから暑い時期を迎え、その次に雨季が
くる。地震や津波の犠牲者と合わせて、さらに30万人にのぼる犠牲者が伝
染病によってもたらされるという警告もなされている。

 こういった被害状況を知ると、我々にも何かできないかと考えるのは、自
然な心の動きである。海外の災害だからといって、国にだけ任せておいてい
いのだろうかという気にもなる。自治体レベルで、どういった支援ができる
のか。これまでに例のないような大災害であるから、前例がないのはあたり
まえである。やってみる価値はある。

 被災地13カ国をまんべんなくというわけにはいかない。支援物資を送る
にしても、全く縁のないところは無理である。何故その国かという必然性と
支援の受け入れ態勢、この二つの条件がいる。となると、わが宮城県の場合、
スリランカとタイということになる。スリランカは、以前に、海外技術研修
員として本県で研修を受けた女性が、スリランカ政府の職員として児童福祉
関係の職務に携わっている。彼女と本県とでは、今でもコミュニケーション
がとれる状況になっている。タイは、仙台・バンコク便の航空路線の開設に
関して、当方と密接な関係が保たれている。両国とも、国際的支援を受け入
れる体制は構築されやすいという。

 どんな支援ができるかといえば、中心になるのは、健康対策関係であろう。
伝染病の予防が喫緊の課題であり、必要な医薬品、消毒薬を送ることが、ま
ず考えられる。この面での需要は、災害直後に限らず、かなり長期にわたる
もので、息の長い支援となるであろ?う。

 県民の中にも、被災者のために何かをしたいという方がいらっしゃるはず。
まず考えられるのが寄付であるが、これは全国レベルでなされる募金への対
応もあるが、宮城県独自の募金で気持ちを届けたいという方もいらっしゃる
のではないか。こういった気持ちの発露を、宮城県という自治体レベルの募
金で受け止めることも、意義があるものと考える。

 実のところ、宮城県から発する支援が、全体の支援の中でどの程度ものに
なるかというと、ごくごく限られた部分にしかならないであろう。そういっ
た実効性とは別に、かつてチリ地震津波の被害を蒙った地域、これからも宮
城県沖地震に伴う津波被害も予想される地域として、今回の津波の被災者と
直接につながりを持つこと自体の意義を評価すべきである。そういった観点
からの支援を何らかの方法で形にしたいと考えているところである。


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> [読者のみなさんから] <

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 <千葉さまから:“年頭にあたって”について>

 戦後60年はとても重要と思った。まず、戦争を知っている世代に戦後70年
はあるのだろうか?という危機感である。私をはじめ戦後に生まれた世代に
とって戦争とはなにか?と聞かれたとき即答はままならない。実際に経験し
た人にしかどれほど残忍で凄惨なものかを伝えられないのではないか?

 どのぐらいの人が死に、どのぐらいの家族が別れ別れになったのか。ひと
りひとりの記憶は重くそして辛い・・・。私たちはそれを語りつぐことで精
一杯である。なんで悲しかったのか、また流れた血のあたたかさまでは、わ
たしたちには感じ伝えることができないのである。


 留学生が戦争をはじめとした歴史を語るワークショップなどの様子には、
東アジア4カ国に最近壁がなくなりつつあると昨年末、大学関係者から聞い
た。それは、戦争の憎しみ等を超えた新たな世代の誕生ということなのだろ
う。戦争は歴史としてとらえ新たな友好を構築しうる世代の壁はなくなりつ
つあると感じた。

 私はこうしたことを聞き、本当の平和と友好が結ばれるのは遠くないと信
じたい。しかしそこには多くの落とし穴もある。戦争の実相について教科書
には載っていないことも多く、また、受験直前のシーズンに近代史の学習が
あるのだ。日本の学生は本当に近代のことをどこまで知っているのか?!

 実際わたしも39歳にして沖縄に実際に行ってみてはじめて知ったことも多
い。社会人になってからさまざまなことを知ったし、国際交流するように
なって日本をよく学ばなければと思ったものである。

 だからこそ、今年はそうした世代という違う観点からみて、とても重要と
思っている。憲法第9条の問題をはじめとして日本のあり方が大きく揺れ動
いている今、平和の課題に目をそむけることなく、戦後60年として多くの機
会をつくり改めてあらゆる世代に平和を見つめなおしてほしい。ひとりひと
りの基点をしっかりとつくり、平和への建設の新たな出発点としてほしいと
願う。



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 す。基本的には削除、変更なしといたします。掲載不可のご意見の場合は、
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> [編集後記] <

 津波(TSUNAMI)は全世界共通語だと聞きました。しかし、その恐ろしさは、
悲しいことに今回のスマトラ沖地震で引き起こされたインド洋大津波で、全
世界が知ることとなりました。

 地震は絶対に起こるもの。そして、それが海洋プレート型であれば、津波
も起きる。それへの備?えが今回は残念ながら足りませんでした。

 次が起きないことを願うばかりですが、それに備えるのが、人間の知恵だ
ろうと思います。
 
 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

                        皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。
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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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