宮城県知事浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2005/1/18
http://www.asanoshiro.org/                  第176号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○童謡をいつまでも(浅野史郎)

 [読者のみなさんから]
  ○メルマガ読者、みなさまからのご感想などを掲載しております。
   (今週はお休みです)

 [お知らせ]
  ○メルマガ登録者募集中です。

____________________________________________________________________
> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○童謡をいつまでも(浅野史郎)

 硬いテーマだけ書いていると、肩が凝る。読むほうだって、たまには柔ら
かい話題をと考えているのではないか。勝手にそう解釈して、今回は童謡に
ついて。

 ラジオ大好き人間の私は、夜中に目を覚ますと、すぐにラジオをつけてイ
ヤホンを耳に挿す。NHKの「ラジオ深夜便」の時間。お目当てならぬお耳
当ては、3時からの「にっぽんの歌 こころの歌」である。

 先日はなつかしの童謡をやっていた。途中から、テープに録ってあるので、
今でも時々楽しんでいる。なつかしい曲、なつかしい名前が、次から次であ
る。川田正子・孝子姉妹、安田祥子・章子(由紀さおり)姉妹、小鳩くるみ、
近藤圭子、伴久美子、古賀さと子。この日の番組でも、彼女らが歌っていた。
改めて眺めれば、全員女性である。

 「みかんの花咲く丘」、「小鹿のバンビ」、「海ほおずきの歌」、「花か
げ」、「証城寺の狸囃子」、「赤い帽子 白い帽子」、「やさしいお母さま」
などをやっていた。当時のレコードそのままだから、なんともかわいい歌い
方である。当時、リアルタイムで聴いたとおりであるから、なつかしさがこ
みあげてくる。

 「当時」というのは、昭和30年代前半である。娯楽の中心はラジオであ
り、毎日童謡が流れていたような気がする。上に書いたような童謡歌手は、
アイドルであった。母の実家が本屋だったので、毎月の雑誌は読み放題。子
供向け雑誌の表紙は、彼女たちアイドルが飾っていた。子供心にあこがれて
いたのは、安田祥子が一番。小鳩くるみ、古賀さと子、近藤圭子もかわいら
しかった。

 こんな昔話はともかく、日本の童謡は素晴らしいということを書きたかっ
た。メロディーもいいが、何と言っても、歌詞がいい。今歌ってみても、日
本語の素晴らしさを実感するような言葉の流れである。ほとんどの童謡に、
四季がつづられている。夢がある。「証城寺の狸囃子」で、狸がポンポコポ
ンとお腹を叩く情景を思い浮かべてみたらいい。「小鹿のバンビ」の栗毛色
のバンビが駆け回っている様子・・・。

 今の日本では失われつつあるふるさとの景色が織り込まれている。「みか
んの花咲く丘」に描かれている情景。みかんの花が咲く丘で、青い海に浮か
ぶ船が見えるところは、今でも残っているだろうか。海ほおずきは、まだ、
縁日で売られているだろうか。やさしいおかあさまといった呼び方をしてい
る子どもは、どれだけ存在しているだろうか。

 日本には、童謡のほかに、文部省唱歌がある。「ふるさと」、「里の秋」、
「冬景色」、「海」などなど。すぐにでも歌えるすぐれた唱歌が、私にだっ
て百曲はある。歌詞が素晴らしいので、忘れることがない。歌えば、古き日
本の原風景が浮かんでくる。「古き」と言いながら、そんな昔ではない。せ
いぜい3,40年前の風景を「古き」と呼ばなければならないほど、日本の
原風景が急速になくなりつつあることに、恐ろしさを感じるべきなのだろう。

 それにひきかえ、最近の日本の歌事情はどうなっているのだろうか。幼稚
園から小学校低学年の子どもたちは、どういった歌の群にさらされているの
か、よくわからない。まさか、テレビから流れてくる、日本語としては意味
不明の歌詞が連ねられた歌に感動しているとは思えないのだが、どうなのだ
ろう。

 昨年、日本列島を襲った台風被害の際に、立ち往生したバスの乗客が、バ
スの屋根に乗って一夜を明かして救出されたということがあった。寒さの中
で眠ってしまうのを防ぐために、そのグループが歌を歌い続けたということ
を知った。その歌は、坂本九さんの「上を向いて歩こう」だったとのこと。
この歌で救われたと、メンバーが語っていた。

 「上を向いて歩こう」を知っている世代であったからのことである。50
年後、同じような状況に陥った時、今の若い世代の人たちは、何を歌うのだ
ろうか。「上を向いて歩こう」は童謡や唱歌ではないが、これも「昔の歌は
よかった」という昔話で片付けられるのかもしれない。

 先日、仙台で公演をした安田祥子・由紀さおり姉妹は、公演が終わってす
ぐに、東北大学病院の緩和ケア病棟を訪ねた。入院患者の大半が、数ヶ月で
亡くなってしまう。その病床で、二人は童謡と唱歌を歌い続けた。どれだけ
慰めになったことか。付き添っていたご家族も、とても感動していた様子を、
歌った本人たちから聞いた。童謡の持つ力、唱歌の持つ力と言ってよい。

 なくしてはならないものがある。童謡や唱歌もそうだが、そこで歌いこま
れている風景、ふるさとのたたずまい、暮らし方、風習も含めてのことであ
る。そういったことも、文化と呼ばれるべきものであろう。

____________________________________________________________________
> [読者のみなさんから] <

 ○メルマガ読者、みなさまからのご感想などを掲載しております。

 今週はお休みです。みなさんのご感想をお待ちしております。


※お寄せいただくご意見は、当方の判断で掲載させていただく場合がありま
 す。基本的には削除、変更なしといたします。掲載不可のご意見の場合は、
 投稿の際にその旨明記していただくと助かります。また、ペンネームでの
 掲載をご希望の方もその旨を明記いただきますよう、お願いいたします。


 ご感想・ご意見は mmz@asanoshiro.org まで

____________________________________________________________________
> [お知らせ] <

 ○メルマガ登録者募集中です。

 多くの皆様に浅野史郎の「生」の声を届けたいと思っております。
 お近くにご紹介いただければ幸いです。

 登録ページはこちらです。
 http://www.asanoshiro.org/news/mmz.htm

____________________________________________________________________
> [編集後記] <

 自分がまだ小学校低学年の頃、近くの小川には小さな魚が泳いでいるのを
見ることが出来ました。しかし、ある時から魚が泳いでいる姿を見れなくな
り、外で遊ぶことも減っていきました。

 ところが、下水道がきちんと整備されたからか、また川は綺麗に戻りつつ
あります。いつの日か、童謡に謡われた風景が私の地元にも戻ってくること
を願って。
 
 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

                        皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。
                            メールアドレス mmz@asanoshiro.org

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
浅野史郎メールマガジン http://www.asanoshiro.org/
発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org