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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2005/1/25
http://www.asanoshiro.org/                  第177号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○楽天イーグルス、いざ出陣(浅野史郎)

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 ○楽天イーグルス、いざ出陣(浅野史郎)

 日本のプロ野球界に、50年ぶりの新球団として誕生した「東北楽天ゴー
ルデンイーグルス」の出陣式が、1月22日(土)、仙台市内で行われた。
会場となった仙台市民会館は、1300名のファンで一杯。往復ハガキで応
募したのは、約4倍の4900名余。12時の開場前から、会場は熱気につ
つまれていた。

 懸案になっていた、宮城球場の命名権(ネーミングライツ)は、人材派遣
会社フルキャストに付与することを、30分前の記者会見で発表した。記者
会見では、楽天の三木谷浩史オーナー、フルキャスト社の平野岳史社長と私
が並んだ。三木谷さんが39歳、平野さんが43歳で、私の56歳は高齢者
の部類に入ってしまう。若き経営者が率いる伸び盛りの企業であることも共
通点である。宮城県とフルキャスト社は、年2億円の3年間の契約を結ぶこ
とになる。出陣式の日に、そのことを発表することができたのは、まことに
幸運と言うべきであろう。

 出陣式の第1部は、私が司会をした記念シンポジウム。お隣山形県の金森
義弘副知事も参加して下さった。山形県は、熱心な誘致活動により、楽天の
2軍の本拠地となっている。こういったことで、宮城県と山形県の連携が進
むことは、うれしい限りで、これも楽天効果の一つに数えていいだろう。

 第2部は、三木谷オーナー、田尾安志監督、マーティ・キーナートGM、
礒部公一主将、岩隈久志投手など、楽天の球団スタッフ、コーチ陣、選手の
ほぼ全員が壇上に勢ぞろいで紹介された。一人ひとり名前を呼ばれながら、
客席を通って壇上に上る演出なので、お目当ての選手が出てくるたびに、客
席の熱狂が高まっていった。

 圧巻は、街頭でのパレード。選手の健康を気遣って、商店街1キロ弱を
20分以内という内容にした。一列目に、藤井黎仙台市長、丸森仲吾仙台商
工会議所会頭、私の両脇に、三木谷オーナーと平野フルキャスト社長という
形で並んだ。東一番町のアーケード街をゆっくり歩くのだが、沿道の人波は
相当に厚い。カメラを構えた市民が声援を掛けてくる。掛け声の相手は、三
木谷さん。「がんばって」の声のほかに、「ありがとう」というのも聞こえ
た。

 「ありがとう」の声を聴いて、私にもぐっと来るものがあった。ライブド
ア社との新設球団指名争いで、「あと出しジャンケン」と非難されたり、
「プロ野球進出は本気ではない」と言われたり、ゆえなき批判の目にさらさ
れた楽天である。しかし、新規参入が決まってから、新しい考え方を着実に
根づかせながら、一つひとつ新チームづくりを積み重ねてきた。そのひたむ
きな努力と真摯な姿勢が、ここにきて、ようやく認められたのだと思う。そ
の想いが、「ありがとう」の声援に込められている。そんなふうに感じたも
のだから、隣を歩く私としても、感激してしまったというわけである。

 何よりも、最高気温が1℃そこそこの寒い日にかかわらず、3万人(主催
者発表)の市民が沿道に並んで選手たちを待ち受けていたという、その事実
の持つ重みに圧倒されてしまう。これだけ待ち望んでいたということである。
そのことを、こういう形で表わしていることに、大感激してしまった。

 ロッテ球団が仙台の地を離れてから28年。仙台は、プロ野球の空白地で
あった。そこに、「仙台がいい」ということで乗り込んできてくれたのが、
楽天である。地域密着、地域一体化で球団運営をする意気込みも本気で感じ
る。ファンサービスの度合も選手の査定基準に加えるという、キーナートG
Mの提案もある。これでファンが燃えないわけがない。

 翌日の地元紙に載ったコメントが、各選手の感激ぶりを表わしている。
「ここまで人が集まってくれるとは・・・。帰りのバスの中でも、みんな感
激していた」(田尾監督)、熱狂的なファンの方もいてびっくりした。がん
ばらなければと実感した」(礒部公一外野手)、「予想を超える声援を受け
てうれしい。声援を裏切らないようにがんばりたい」(岩隈久志投手)、
「大歓声に驚きました。大学時代から仙台にいるが、七夕まつりより人が多
かった。期待を裏切らないようにがんばる」(塩川達也内野手)。

 出陣式をこの時期に実施してよかった。短時間だったが、パレードをして
よかった。シーズンが始まって、苦しい状況に直面した時、選手たちはこの
光景を思い起こすだろう。絶対に力を与えてくれる。まだ1試合も戦ってい
ないチームなのに、これだけの熱狂ぶりは、やはり大変なことである。

 3月末のシーズン開幕をこれほど期待一杯で迎えることは、私としてはい
まだかつてなかったことである。そういった期待感を与えてくれたことだけ
でも、楽天イーグルスには感謝感謝である。

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> [編集後記] <

 一ヶ月後には、オープン戦が始まります。東北楽天イーグルス、初戦の相
手は巨人。これもまた因縁でしょうか。

 今年、東北で60試合以上ものプロ野球が開催されます。その中には、セ・
リーグとの交流試合も含まれます。去年の今頃は、こんなことになるなんて
だれ一人として思っていなかったことでしょう。

 ともあれ、今年は本当に楽しみな一年です。
 
 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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