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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2005/2/15
http://www.asanoshiro.org/                  第180号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○国民健康保険への県負担の導入(続き)(浅野史郎)

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○国民健康保険への県負担の導入(続き)(浅野史郎)

 第178号で書いた内容に付け加えたい。メルマガを書いたあと、2月9
日に民主党との意見交換、全国知事会社会文教常任委員会での厚生労働省か
らの説明と意見交換という機会があった。同じ日に県庁内で勉強会をやった。
そういった機会を持つことによって、前回書いた内容では不十分であること
がわかったので、もう一度同じトピックについて書くことにした。またして
も、一般受けのしない話題になってしまうことをお詫び申し上げる。

 問題点がだんだん明らかになってきた。今回の「改正」では、市町村に対
する県の調整交付金として7%分(国民健康保険の医療費に対する割合。以
下同じ)が新たに導入された。一方、それまで10%であった国から市町村
への調整交付金が9%になり、国から市町村への定率負担が40%から34%
に減ることになる。国民健康保険の保険者である市町村にとっては、国の定
率負担が6%も減らされることに、大きな脅威を感じている。保険料だけで
国民健康保険を運営するのは、とても無理という現状であるから、国の定率
負担は大きな支えである。市町村にとっては、それが6%も減らされる、
「大変だ」と受け止めるのは、ごく自然な反応であろう。

 調整交付金は「調整」に意味がある。つまり、保険者である市町村の「成
績」や財政状態、制度運営の「姿勢」といったものが評価されて、その評価
結果に応じて交付金の額が増減される性格のものである。この部分が10%
であったのが、今回の「改正」で16%になる。どんな考え方で調整される
のか、市町村としては、戦々恐々の思いでみつめることになるのは、容易に
想像がつく。市町村ごとに評価されるのであるから、吉と出るところと、凶
と出るところの両様である。

 こういった調整に委ねられる部分が16%というのは、大き過ぎると受け
止める市町村が多いのではないか。今までどおり10%というのが適当な線
であろう。結果的に、定率負担が40%となる。これなら市町村もある程度
安心できる。調整交付金について、もっと深刻な問題は、配る主体が国と県、
二本になるということである。これは、どう考えても合理的ではない。県が
独自の配分ルールを設けるとしたら、国の配分ルールに真っ向から反するよ
うなことになりかねない。それでは困るというのが、国、県そして市町村、
三者それぞれのホンネであろう。

 それではということで、県の配分ルールを国と大体において合わせること
にする。それでは、二つ違うところから交付される必要性はほとんどないに
等しい。どちらにしても、とても変な結果が導かれる。なんでそんな変なこ
とになったかと言えば、国が調整交付金の配分権限を手放したくないからと
考えるしかない。

 三位一体改革の流れの中で出されたのが、今回の「改正」である。「県の
裁量を広げる」というのが改正の趣旨であった。であるとすれば、国の裁量
は引っ込まなければ理屈が通らない。理屈よりも想いのほうが強かったのだ
ろう。国の裁量として引っ込めたのは1%分だけ。10%が9%になったの
を見て、「国の裁量を引っ込めたよな」とはとても言えない。制度運営を真
面目に考えれば、調整交付金が二ヶ所から出されるなどという形は、とても
出てくる答ではない。

 我々としては、次の改正を目指さなければならない。国民健康保険の運営
における県の責任というものを明確に認める方向にさらに踏み出すことにも
なろうと思うが、調整交付金の部分は県に任せろと主張することになろう。
その割合は10%。国の調整交付金は廃止ということになる。

 今回の「改正」で納得できないことがもう一つある。保険料負担軽減対策
(保険基盤安定制度保険料軽減分)として、これまでは国が2分の1、県が
4分の1、市町村が4分の1負担してきた。「改正」では、国の2分の1を
県が持つことにする。つまり、市町村4分の1、県4分の3の負担になる。
県負担がこれまでの3倍になるだけの措置を「県の裁量が広がるのだから・
・・」との説明で押し付けられるのは、全くもって本意ではない。納得でき
ない。この部分の裁量の余地は全くないからである。これも、次の改正で改
めなければならない点であると思う。

 次のステップとしての展望を描きながら、今回導入された県の調整交付金
の配分方法をどうするかという議論に臨んでいきたい。国民健康保険制度の
あり方と、県の位置付け、この両方をにらんで議論を展開していかなければ
ならない。


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> [編集後記] <

 年末のこの欄で「伊達の純粋赤豚を食べに伊豆沼へ行く」と宣言したので
すが、やっと先週末行くことが出来ました。

 迫町にあるその直売レストランで食べた赤豚は絶品。肉の味を堪能できま
した。そして、野菜やお米もとてもおいしく、地元の食材が素晴らしいこと
を実感。また行きたいなと、素直に感じました。
 
 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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