浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

浅野史郎から
2009.8.29

 右膝の剥離骨折や肺炎での発熱がありましたが、いずれも、快方にむかっています。入院時に「大船に乗った気でいてください」と言ってくださった東大医科研の主治医によれば、「大船が少し傾いたけど、今は、すっかり順風満帆、骨髄移植の目的地を目指して順調な航海を続けている」という状態になりました。少し休んでいた抗がん剤投与ですが、8月21日(金)から、第3クールが始まりました。過去2回、同じような治療をしてきたので、どんな反応があるのかなど、予想がつきます。その予想通りに、順調な治療が続いています。

 骨髄移植のドナーがみつかったことは、前回、報告させていただきました。私の知らないところも含め、全国のさまざまな地で、さまざまな方々が、ドナー登録をしてくださったり、ドナー登録の声掛けをしてくださったりしたことを知りました。ありがたいことです。改めて、この場を借りて、心から御礼を申し上げたいと思います。

《「シローと夢トーク」について》
 このホームページでもご紹介していますように、9月5日(土)の12時―12時58分まで、仙台のFMラジオ局「ラジオ3」で「シローと夢トーク」が放送されます。エルヴィス・プレスリーの曲しかかけない、エルヴィス・プレスリーの曲の話しかしないという究極のおたく番組で、仙台時代の7年間、私が選曲、演出、DJをしていました。前回第1弾の特別リバイバル番組を放送しましたが、これは、私への激励のメッセージとか、骨髄バンクへの登録のお願いとかがあって、私の出番は2,3分だけでした。今回は、その第2弾ですが、ほぼ昔の番組同様に、私がしゃべりまくります。先日、病室で収録を済ませました。お蔭様で大好きなエルヴィスのDJ収録で免疫力がすごくあがったと思います。皆様にもお楽しみいただければ幸いです。

《小山内美智子さんの本のご紹介》
 私の25年来の友人である小山内美智子さんが、6月に本を出しました。小山内さんは、脳性まひで車椅子生活です。札幌市内で「いちご会」という在宅の重度障害者を支える活動の代表を務め、同時に、障害者の自立生活支援の施設「アンビシャス」の総合施設長の任にあります。食事、排泄にも介助が必要で、かゆいところがあっても自分では掻けないという障害者が、悪性リンパ腫になって入院したら、どんな問題が出てくるのか。病気との闘いだけでなく、障害者のことをほとんど知らない、知ろうともしない病院との闘いもしなければならない。「悪性リンパ腫の99%が消えた」ということで、がんとの闘いには勝ったにしても、介助と治療をどう両立させるか、医療機関や行政、社会一般にこの問題をどう認知させるかという戦いは、まだ終わっていないようです。

 その辺のことを生々しく書いたのが、小山内さんにとって12冊目の著作になる「わたし、生きるからね」(岩波書店)です。この本の帯に推薦文を書いた時点では、私自身が同じような病気になるとは思っていませんでした。闘病の先輩として、教えられるところが多い本です。そして、障害者ががんになったらという重い問題を真剣に考える契機になります。多くの方に読んでいただきたいと思って、紹介させてもらいました。

 


2009.8.19

 

 お盆も終わり、世の中は、衆議院議員選挙の真最中ですが、こちらは関係なく、入院生活を続けています。

 右膝の剥離骨折は、だいぶよくなりました。痛みは全くなくなりました。膝をある程度曲げても、痛みは出ません。「どこまで曲がる、試してはいけません」と整形外科の医師に言われているので、試してはいませんが、事実上、膝は相当程度曲がるようになったというところです。

 このところ、微熱が続いていたのですが、私が肺の中にもともと持っていた菌が活性化したのだろうと診断されています。主治医の大野医師に説明を受けました。「よくあることです。抗がん剤治療では、感染症のコントロールが最も大事なことで、それが出てきたということです。ここからが、我々の腕の見せ所です。心配はいりません」とにこやかにおっしゃるので、私の気持ちもぐっと軽くなりました。

 治療の中では、いろいろあるものです。私は伏兵という言い方をしていますが、そういった伏兵をひとつひとつつぶしていくことが、治療の要諦ということだと思います。その意味では、東大医科研のスタッフに全面的に信頼を置くことができることは、患者としては、とても幸運なことです。

  いい知らせとしては、骨髄移植のドナーがみつかったことです。私のHLAの型と基本的なところでは、ピッタリ合致しているドナーのようです。ただ、骨髄移植の日程としては、思っていたのよりだいぶ先になるかもしれません。今回の肺炎治療を骨髄移植前にやっておくということを考えれば、骨髄移植までの時間的余裕ができたと考えればいいのかもしれません。  ということで、第3クールの抗がん剤投与は、少し、延期されます。

  いつもながら、メールによる激励メッセージに力づけられています。ありがとうございます。長期戦になりますが、最後まで戦い抜いていきたいと思います。

 


2009.8.8

 第二クールの3回目の抗がん剤投与が、7月29日(水)から3日間続きました。そこからが、白血球数、その中の好中球数が一番少なくなる時期を迎えます。第一クールの際の経験から、抗がん剤投与が始まってから21日目、22日目、23日目あたりが最低レベルとなることがわかっていましたが、今回もそのとおりで推移しました。8月5日(水)、6日(木)、7日(金)というあたりが、免疫が一番下がっていました。

 その際の発熱、息切れというのがありましたが、おとなしくしていればいいだけで、なんのことはありません。すべて想定内ですし、想定される不具合も、ごくごく軽いものだし、2,3日で雲散してしまうこともわかっています。

 今回、想定内でなかったのが、右膝の痛みでした。8月3日(月)から痛み出し、4日(火)からひどくなり、5日(水)にレントゲンを撮ったら、右膝の骨の剥離骨折であることがわかりました。3日(月)にもスクワット50回とストレッチをしたのですが、それほど激しいものではありません。整形の医師の見立てでは、疲労骨折が以前からあったか、スクワットが引き金になったか、どちらかだろうということ。手術などの治療は必要ないが、一ヶ月の安静が必要ということでした。

 右膝を曲げると痛いので、曲げられません。日常生活にも支障が出ます。運動がさらに制限されるので、筋肉がさらに弱くなってしまうのも心配です。でも、起きてしまったことは仕方がないので、じっと耐え忍ぶしかないと思うに至っています。全く想定外の伏兵現わるということですが、これまでが順調過ぎたのかもしれません。これからも、伏兵が現われることでしょう。それをひとつひとつつぶしていくのが、治療ということかもしれません。

 骨髄移植のドナーは、まだみつかっていません。必ずみつかるとは思っていますので、落ち着いて待っているところです。一番条件のいい人が現われてくれるといいなと思っています。

 全国各地から、応援のメッセージをいただいています。ありがたいことですし、力が湧いてきます。この場を借りて御礼を申し上げます。


2009.8.1

 入院以来、2ヶ月になろうとしています。抗がん剤投与の治療は、ここまでの ところ、効果もはっきり出ていますし、副作用もごく軽くて、とても満足のいく 状態で進んでいます。抗がん剤の質が、一昔前に比べて格段に向上して、副作用 は限定的になっているということもあるでしょうし、使っている薬が私に合って いるということもあるのかもしれません。一般的に、「抗がん剤の副作用は、と ても苦しくて大変だ」という「うわさ」が残っていることもあるのでしょうか。 私の治療について、実態以上にご心配をおかけしているような気がしています。

 実際は、とても楽です。免疫力が極端に落ちる一時期には、具合が万全でない こともあります。面会が制限されますが、それは、この時期に一番怖い感染症へ の罹患を怖れてのことです。それ以外は、活動は病室内には限られますが、のん びりと本を読んだり、ラジオを聴いたり、音楽を聴いたりと、考えようによって は、特別な休暇をもらっているようなものです。意外と、退屈で暇を持て余すと いうこともありません。

 大変なのは、これからだという気もしています。化学療法の後に控えている骨 髄移植は、こういうわけにはいかないでしょう。移植前の処置から始まって、骨 髄移植そのもの、そして何よりも、移植後の予想困難なさまざまな障害が待ち構 えています。なんとか、そこをきっちり乗り越えたいという気持ちです。そのた めにも、今の化学療法が順調に進んでいるということは、とてもいいことだと 思っています。

 いつも、応援してくださっている方々の思いを、大きな力にしています。今ま で、全然知らなかった人からも、お励ましや、貴重な情報を頂戴することもあり ます。ありがたいことです。心から感謝申し上げます。

 

 


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