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厚生福祉 2001年1月13日号から

21世紀の福祉行政

 「21世紀の福祉行政」などとおおげさなタイトルをつけたが、要するに、これからの福祉行政はどうあるべきかということである。ケアマネジメント、地方分権、NPOあたりがキーワードになるのだろう。

 ケアマネジメントとは、福祉の対象のニーズをトータルにとらえて、そのニーズをサービス提供に結び付けていく仕事のことと私は勝手に解釈している。「トータルに」ということが大事である。介護という身体的ニーズ、他人と触れ合いたいという情緒的ニーズ、買い物をしたいという物質的(?)ニーズなどなど、ともかく一人の人間にはさまざまなニーズがあり、それを満たすサービスも、これまた多岐にわたるという当たり前のことの認識から始まる。

 20世紀型福祉行政が、まず行政施策というサービスがあって、その対象者を探し出してサービスをあてはめるということだったとすれば、逆からの発想である。介護保険のケアマネジャーの仕事がこれに近いが、必要なケアーが介護保険の範疇だけで満たされるという保証はないという点で、ちょっと違う。

 「結び付ける」ということもポイントだろう。つまり、ケアマネジメントはサービスの需要者と供給者との間に入って、この間を結び付けるという役割である。需要者の権利擁護、自立に向けての元気づけ、動機づけという仕事も含まれる。

 第二のキーワードが地方分権。新設された厚生労働省での福祉領域の仕事は、地方への補助金分配業から脱してほしいと切に望む。まさに、「21世紀の福祉のありかた」を模索し、それを世の中に示していくことに全力を挙げていただきたい。補助金分配に人手と時間を割く余裕などないはず。

 そして、NPO。21世紀は、あらゆる領域でNPO花盛りとなってもらいたいが、福祉の分野では特にそうである。単なる仲良し団体ではなく、福祉サービスの提供を実践する団体として、既存の社会福祉法人とは違った形での存在感をNPOに示してほしい。行政にも、それを上手に育てる方策が求められる。NPOは洋々たる未来を持っていると信じている。


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