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厚生福祉 2004年11月19日


500万人トーチラン


  「500万人トーチラン」の集火式が、10月30日、宮城スタジアムで開催された。トーチランを通じて、来年2月に長野県で開催されるスペシャルオリンピックス冬季世界大会の意義が、多くの人に分かってもらえた。1,500円の寄付(記念のTシャツがもらえる)と、トーチランに伴走する方一人当たり1,000円のカンパで、スペシャルオリンピックス開催の支援をすることも、トーチランの目的である。何らかの形で、日本全国で500万人に関わってもらいたいということが、タイトルに込められている。

 私も宮城県内13ヶ所のトーチラン会場のうち、六ヶ所で一緒に走った。車椅子を押されていた女の子が、途中で車椅子を降りて突然走り出した「ドラマ」の現場にも居合わせた。集火式には、アテネオリンピックのハンマー投げ金メダルの室伏広治選手たちも宮城スタジアムに駆けつけてくれた。宮城県だけで、Tシャツ寄付約13,000枚、一人1,000円のトーチラン参加者延べ約2,400人とのことである。

 スペシャルオリンピックスは、知的障害者のスポーツの祭典である。故ケネディ大統領の妹が始めた運動で、今では世界百カ国以上に活動は広がっている。知的障害者にスポーツのルールを誰が教えるのか。技術を教えるコーチも必要である。互いに競い合うことの厳しさと楽しさも、実地に味わってもらうためには、それなりのしつらえが用意されなければならない。支える運動と組織が、日本でも出来上がっている。

 芸術とスポーツは、知的障害者にとっての「立つ瀬」であると、ずっと思ってきた。スポーツの場面では、スペシャルオリンピックスが大きな役割を果たしている。参加するアスリート本人たちがハッピーなのは当然だが、それを支え、見守る人たちにとっても意義がある。あわれで、かわいそうな障害者ではなく、共に暮らし、感動を一緒に味わう仲間としての意識は、こういった活動を通じてしか醸成できないと信じている。

 もろもろの意味を込めて、長野での世界大会を成功させたい。日本の障害者福祉にとっても、大きな転機になるほどの、とても意義あるイベントであることを、声を大にして叫びたい。


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