浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

 

2005年9月8日
毎日新聞・インタビュー記事から
《05衆院選 「改革の行方」 日本の選択
小泉政治
マニフェスト 私はこう思うE

【聞き手・須藤孝】


「政策基軸」貫いた

 争点を郵政一本に絞ったことには疑問もあるが、小泉さんが政策を争点として有権者に問うた点は是とできる。政策を基軸にスパッと切った点では教科書通りの政党のあり方で、選挙のあり方そのものだ。やっとここまで来た。日本の民主主義の発展のなかで一つのエポックになると思う。

 何があっても「なあなあまあまあ」で何とかやりくりしてきた、これまでの政党運営が続かないことを、政策という基軸で明確に示した。郵政民営化法案に反対した人から言えば「違う意味で言ったのにバッサリ切られた」と思うかもしれないが、政策で切るということはそれだけドライな、非情といえば非情なものだ。今回はその経過が強調されただけだ。

 今は、後から思えばあそこが分岐点だった、潮目の変わり目だった、と思えるような時代ではないか。選挙の結果がどうなっても、もう後戻りはできないと思う。小選挙区になった当時、政治改革ではなく単なる選挙制度改革だと批判された。でも10年以上たって、小選挙区の意味を今回改めて認識する場面になった。小泉さんという特異なパーソナリティーもあるが、小選挙区だからこそ、政策一つで割り切るやり方が成立する。中選挙区だったらリーダーが望んでも難しかった。小選挙区ではまさに、個人としてではなく、政策を支持する者だけが正統性を与えられ、公認候補になる。それが貫かれた今回の選挙は、実は小選挙区という制度が準備して待っていたことになる。なんだかわけがわからない、誰でもいいということは、これからはもう出来なくなるだろう。



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